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上意討ち 拝領妻始末 [愛情、夫婦、理不尽、恩、仇]

会津松平藩、馬廻りの三百石藩士「笹原伊三郎」は、主君「松平正容」の側室「お市」の方を、長男「与五郎」の妻に拝領せよと命ぜられた。

武芸一筋に生きてきた「伊三郎」は、笹原家に婿養子として入った身で、勝気な妻「すが」の前で忍耐を重ねて暮してきた。だから、「与五郎」には自分の轍を踏ませず、幸福な結婚を願っていたため、なんとしても命を受けるわけにはいかなかった。「伊三郎」は親友で国廻り支配の「浅野帯刀」に相談し、時をかけてこの話を立ち消えにしようと考えた。しかし、側門人「高橋外記」の性急な要請と、笹原一族の安泰を考える「笹原監物」の談判を受け、「伊三郎」は藩命という力の前に屈した。

間もなく「与五郎」と「いち」の祝言が挙げられた。「いち」の花嫁姿は子を生んだ女とは思えないほど初々しく、その後も夫や姑に従順に仕えた。家督を「与五郎」に譲った「伊三郎」はそんな「いち」が、なぜ藩主から暇を出されたのか訝った。「いち」は十九歳の時、許嫁がいるにもかかわらず一方的な藩命で「正容」の側室にされ、「菊千代」を生んだ。その悲惨な運命を受け入れた「いち」が、喜々として「正容」の側室になった「お玉」の方を見た時、「正容」をけだもののように感じて逆上したのであった。「与五郎」も「伊三郎」も、この一部始終を「いち」から聞いているうちに、「いち」ほど立派な嫁はいないと思った。平和な日が続き、「いち」は「とみ」を生んだ。

そんなある日、「正容」の嫡子「正甫」が急死した。「菊千代」が世継ぎと決り、「いち」の立場は藩主の母となってしまったために、藩の重臣は「与五郎」に「いち」を返上せよと命じた。この人道にそむく理不尽な処置に「伊三郎」は怒った。これまで笹原家の門閥と格式を守ることにのみ生きてきた「伊三郎」は、「与五郎」と共に叛徒になる決心をした。

明け方、上意討ちの一隊が笹原家を襲ったが、相手方に拉致された「いち」は自ら刃の前に身を投げ出して果て、「与五郎」も「いち」に折り重って敵刃に倒れた。「伊三郎」は狂気のように荒れ狂い、「外記」らを斬りまくった。やがて、藩の非道を幕府に訴えようと、「とみ」を連れて旅に出る「伊三郎」の前に領内の出入りを見張る「帯刀」が現われた。役目とはいえ、非痛な思いで「伊三郎」に対峙する「帯刀」は、「伊三郎」の豪剣の前に倒れた。しかし、その「伊三郎」も追手の銃弾に果てた。その場所、鬼神ケ原には、「とみ」の泣き声が藩の非道を訴えるように聞こえていた。

1967年(映画) 
三船敏郎 :笹原伊三郎(馬廻り三百石藩士) 
加藤剛 :笹原与五郎(長男)
司葉子 :笹原いち

1992年(TV)
加藤剛:笹原伊三郎(馬廻り三百石藩士)
船越栄一郎:笹原与五郎(長男)
渡辺典子:笹原いち

原作:滝口康彦 

いつの時代にも、自分の力ではどうしようもない理不尽な事が起きます。その様な時に人は、自ら命を絶ったり、自暴自棄になり人を殺めたりします。どの様な解決策があるのでしょうか。


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